夏の夜の夢

英国の劇作家ウィリアム・シェイクスピアの喜劇「夏の夜の夢」。夏至の夜に森に集う恋人たちや演劇の練習に来た職人たち。彼らが妖精パックによって、最初に見た人を好きになる魔法にかけられたり、ロバに変身させられたりと翻弄される話です。ヨーロッパでは夏の夜に妖精の力が強くなるという言い伝えがあるそうです。そういえば子供の頃繰り返し読んだスウェーデンの作家リンド・グレーンの「やかまし村の子供たち」という童話にもありました。夏の夜、子供達が親に内緒でこっそりと妖精を見に川に出かけていくという場面です。日本の夏の夜は妖精ではなくお化けや幽霊が活躍します。私は子供の頃、ひとつだけ怖くて眠れないお化けの話がありました。深夜、廊下を「ぎし、ぎし」と歩く音が近づいてきます。そして部屋の前で立ち止まります。すると「足いるかい?」とお婆さんの声がします。「いらない」と答えると足をとられてしまうので、必ず「いる」と答えなければなりません。足の悪いお婆さんが丈夫な足を探して夜な夜な徘徊しているという話です。夏休みに訪ねた福岡の祖父の家は古い家でしたので、壁や床の木材がきしんで鳴っていました。夏の寝苦しい夜この音を聞くと、お婆さんが来たと思い怖くてますます寝れなくなりました。たわいない話ですが懐かしい思い出です。子供の頃はクーラーなどありませんでした。母から「涼しい風がはいってくるから暴れずじっと寝ていなさい。」と言われたのを思い出します。今はじっと寝ていても涼しい風など感じません。なのでクーラーをつけて寝ています。以前はクーラーの付けっ放しは寝冷えをするから止めたほうが良いと言われました。しかし最近は熱中症になるので付けっ放しの方が良いという話も聞きます。外の日差しも注意が必要ですが、室内の温度にも気をつけなければなりません。昔はこんなに暑くなかったのにと思う今日この頃です。

みなさん、まだまだ暑い日は続きます。寝苦しい夜はくれぐれもお化けと熱中症にお気をつけください。